旅日記

2015年10月15日(木)大津→三条大橋へ 22.7km

 朝8時前に石山寺を初めて訪ねた。石山寺は瀬田川沿いにある由緒ある寺院だ。石山寺の創建は奈良東大寺構築の頃だからとても古い歴史がある。開門は8時からだ。東大門には鎌倉時代の運慶とその子湛慶作という仁王像がにらみをきかせている。  石段を上りつめると、正面に奇怪な大岩石が目につく。幾十にも重なる岩は硅灰石(石灰岩の一種)だ。まずは本堂を参拝した。正面右には「源氏の間」がある。紫式部は石山寺で『源氏物語』の構想を練ったという。「源氏の間」には十二単の紫式部が筆をもって想を練る姿がみられる。境内の「源氏の苑」にはやはり筆をもつ紫式部の像がある。石山寺には国宝の本堂、多宝塔などの他にたくさんの重要文化財がある。だが、残念ながらじっくりと見学ができない。  ふたたび中山道にもどる。和田神社、義仲寺をへて、ロシア皇太子が襲われた碑まで来た。前回はまったく気づかなかったが、その手前に珍しい「すだれ屋」があった。大きいすだれ、箸にいたるまでお店のなかにはたくさんの商品がある。滋賀県では一軒しか「すだれ屋」はないという。また滋賀の柏原、醒井などで見られたベンガラ塗りの建物がある。道は「札の辻跡」についた。左折すると蝉丸神社、逢坂越え、月心寺方面になる。  京都へ同じ道ではなく、今回は園城寺(三井寺)を参拝したいと思っていた。三井寺から小関越え(裏道)して京都への道がある。札の辻を直進してまずは初めての三井寺へ。7世紀の天武天皇の頃からの古いお寺さんだ。長等神社をすぎて、三井寺の拝観料を払って、急な階段を上ると観音堂がある。観音堂からは大津市の街並みや琵琶湖がみえる。広い境内なのでとてもみる時間がない。宝物がある文化財収蔵庫を見学した。  拝観受付所で、三井寺から観音堂を通って小関越えができると聞いていた。ルートは変則になるが、歩くことにした。観音堂の展望台には「大津そろばん」の碑などがある。確かに歩ける道がある。この道はどうも「小関越えハイキングコース」らしい。  狭い小道には倒木もある。しかも左側は急斜面になっている。足を踏みはずすと、ころがり落ちそうだ。途中、「三井寺へ ここより三井寺境内に入ります。志納金は観音堂でお願いします」という看板があった。境内はどのくらい広いか想像がつかない。「急がば回れ」ということわざがある。判断を間違ってしまったのかと思ったが、やがて小関越峠の案内板を目にした。峠には小関地蔵堂がある。  近くに分岐点があったが、右の坂道を選んでしまった。川に沿って歩くと、やがて普門寺、寂光寺がある。このあたりはガイド本のルートに載っている。やれやれ遠回りしたのか、近道したのかわからない。みたことのある道標にたどりついた。文政5年(1822)建立の大きな道標には「三井寺観音堂」「小関越」とある。逢坂越えをしたときにみた道標が鮮明によみがえった。  ここからは今年1月末に歩いた京への道だ。日ノ岡峠を越えると「三条通り」に合流する。左に蹴上浄水場がある。三条大橋まであとわずかだ。さあ、もうすぐゴールだ! ついに三条大橋に到着した。東京・日本橋から埼玉、群馬、長野、岐阜、滋賀を通ってきた中山道の距離は135里22町(約535km)あるという。38日間かけて寄り道したぼくの歩数計の距離(現地発着)は、約787kmとなった。完歩記念に通行人に写真をお願いして、長い中山道の旅を終えた。

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